こんばんわ、ゴン太です。
『イトウ資源の管理は釣り人とともに』 北海道立水産孵化場 川村洋司氏の二回目です。
次は猿払川での事例から、もうちょっと直接的に影響しているというお話をさせていただきます。
猿払川でいったいどんな釣りが行われているかと言うのは、昨年1年間調査させていただきました。
今年も行っているんですが、昨年の調査の中で直接的な釣りの影響みたいなものが確認できましたのでそれについてお話します。
昨年の調査はですね大きく分けると3つの項目が有りました。
一つは釣り人にアンケート調査をしまして、どんな釣りが行われているかの全体像を把握する事
二つ目はどのくらいの数がこの下流域に入っているか直接数えて調べたました。
三つ目は実際に私達がイトウ釣りをしまして、その年齢ですとか口の中の針傷数などを調べまして
何回くらい釣られているんだろうかと言う事を調べました。
まずはアンケート調査の結果から。
アンケートの回答の状況ですが回答数が122有りましたが、
釣り人の数が1300~1400人でしたから大体一割弱の方に回答を頂きました。
回答の状況ですけれども、これは猿払川の下流域でのアンケートですが、
5月の中旬頃から急激に回答数が増えまして、6月の上旬までがかなり多い。
6月の中旬ぐらいからぐーと減っていって、6月下旬くらいになるとかなり少なくなってしまう所から、
昨年の猿払川のイトウ釣りの最盛期は5月の中旬から6月の上旬くらいと言えます。
そのアンケート調査の結果から、ルアーが3割、フライが7割、餌釣りが回答無しでした。
私達が見る限りでも餌釣りの人は一人も見かけませんでしたので、少なくとも昼間に餌釣りしている人は居ないと言えます。
フライ釣りの方は針にカエシが有るか無いかの問いに大体半々より若干多いくらいの方がカエシ付きの針、
4割強くらいの方がカエシ有りませんよとの事でした。
ルアーの場合でも大体同じ様な数字が出ておりまして、かなりカエシの無い針を猿払川では使っているようです。
それともう一点、フライの場合は必ず一本針を使いますけれども、
ルアーの場合でも一本針、俗に言うシングルフックと言われているルアーを使っておられる方が4割を越すくらい居まして、
両方使ってますよと言う方も含めると半分くらいの方がシングルフックを使っている様です。
後で針傷調査の中でも出てくるのですが、トレブルフック要するに三本針の場合はですね、
場合によっては釣られると三つ針傷が付いてしまう可能性も有るのですが、三本針を使っている方が非常に少ない。
たとえばルアーの半分だと考えますと単純に考え15%に減ってしまいます。
実は釣っている数もフライとルアーを比較しますとフライの方が圧倒的に多く釣ってまして、
尚且つルアーでも三本針と一本針を比較しますと、圧倒的に一本針が釣れていると言うアンケート結果になりましたので、
単純に考えまして三本針で釣られている数は4~5%になってしまいまして、
その結果から三本針で一度に三つ針傷が付いちゃったと言うのは今回は無視して、
一回釣れたら針傷は一個しか付かなかったと言う風に都合良く考えて解析をしています。
このアンケート調査結果の釣られた数、何匹釣られましたかと言う数の問いが有りまして、
一匹釣りましたとか二匹釣りましたとかと言う回答を頂いているのですがそれを集計したものです。
一匹も釣れませんでしたよという方が26人ぐらい。
一匹釣りましたと言う人が37人ぐらいですか、平均値で言いますと1,3613匹。
この結果から言いますと猿払川は結構釣れているんだなと。
幻の魚だなんて言うほど釣れないんじゃなくて、結構猿払の魚は釣れているんだなという気がしました。
これで注目していただきたいのはですね、理論的に言ういわゆるポワソン分布に非常に近い、
ポワソン分布とはですね、ある低い確率でランダムにようするに確率的に起こる現象なんですが、
そのポワソン分布に非常に近い釣獲尾数になっておりまして、これから言える事はですね、
どうやら猿払川下流域でのイトウ釣りと言うのは、どうもランダムに釣られているらしい。
もうちょっと判り易く言いますとようするに、上手い人が沢山釣って、下手な人が殆ど釣れないと言う事では無くて、
あんまり上手い下手に関らず、釣れた数はほとんど偶然だと言う様な事がこれからは言えます。
まぁ多分ですねものすごく下手で何時行っても釣れないみたいな人も中には居るでしょうし、
もしかするとものすごく天才的に上手くて沢山釣っちゃう人も居るかもしれませんけれども、
大勢集めて統計的に取りますとですね、そういった方はごく一部ですから結果にはほとんど表れない。
大半の方はですね、ほとんど偶然の様に釣れたり釣れなかったりすると言えるらしいと言う事です。
次に何人くらいの釣り人が訪れたかと言う事です。
最盛期(5月中旬から6月上旬)は1日に土日ですと60人ちょっと、平日でも20~30の人が入ります。
それ以外の時期はかなり少なくなり、平日ですと平均5~6人しか入りません。
合計の人数で言いますと最盛期の平日と土日を合わせますと900人近く、
それ以外の40日弱で400人ほどですか。合計すると推定1360プラスマイナス
1300から1400人ほど釣りに訪れていると言う事が判っています。
ではそういった数字を使ってですね、この5月から6月に渡っていったい何匹くらい釣られたかを計算してみます。
非常に単純な計算で、何人入ったかと言う事と、一人当たりが何匹釣ったかと言う数字を掛けたものです。
1365×1,36=1856尾
ほんとは幅が有ってもうちょっと有るんでしょうけれども、平均値だけで議論しますけれども、
2ヶ月間の間に猿払川の下流域で大体2000尾弱くらい釣られたと言う事が判りました。
これは夜釣りの人数を入れてませんから、夜釣りの尾数を加えますと多分2千数百くらい行くだろうと考えられますが、
とにかく昼間釣られた尾数だけで考えますと1856尾と言う数字が出てきました。
さてそれでですね1856尾釣られた訳ですけれども、そのくらい釣られたと言うのを基本にして、
じゃあ下流域にいったいどのくらいイトウが居たんだろうと言う事を考えてみようと言う事です。
皆さんは2000匹くらい釣られたんだから1万匹くらい居るんじゃ無いかと考えるかですね、
いや5000匹くらいじゃ無いかとか、2000匹くらいかな~と、ちょっと考える様にいただきたいのですけれども、
これを考えるのに私達は針傷数というのを使いまして、その魚が過去何回ぐらい釣られているんだろうかと言うのを調べてみました。
孵化場にも釣りの上手いのが何人か居ましてですね、そういう人達を連れて土日全部で6日間釣りをしました。
その人達が釣った魚だけでなくて、周辺で釣りをしていた人にも頼んで去年は全部で50匹のイトウを調べました。
麻酔をかけまして口を開き、何処に針傷が有るかと言う事を調べました。
針傷数は最後にお話しますけれども、まず釣られた50尾はどういうもんだったかという所からお話します。
まずは調査尾ごとの魚の大きさ。
写真をお見せ出来れば良かったのですが、余り良い写真が無かったので持って来なかったんですが、
5月中旬の魚はかなり光った魚と言うか、かなり太った光った魚が多くてですね、
余り産卵後の痩せた様な魚というのは余り釣れませんでした。
大体50cm前後と言いますと大半が成熟しなかった魚で、
まだ痩せてなくてですね釣っても結構面白い魚だったかなと思いますけれども、
平均値56cmくらいの釣鐘型みたいな分布になりました。
それ以降5月の下旬から6月の上旬になりますとですね、だいぶサイズが大きくなりまして、
6月の上旬は大体10cmくらい平均値で大きくなりまして60~70cmくらいの分布になりました。
全体にですね後になればなるほど大きな魚が釣れてくると言う傾向がはっきりとしていると言えます。
ちなみに6月の上旬くらいになりますと、殆どの魚が産卵後の婚姻色が残っている魚になってしまいます。
30数cmから釣れ始まり、大体90cmまでの魚がこの期間に釣れます。
これは私達の結果だけでは無く、多分全体的な傾向も似たような傾向かなと思います。
次に鱗を取りまして年齢を調べた結果です。
1回目の6月の中旬と言うのはですね5~60cmの魚が多かったんですけれども、
その時の年齢はまぁ10才ほどの年齢の魚が主体で釣れていました。
これが先ほども言いましたが段々大きくなるにしたがって年齢も高くなる傾向が有りまして、
6月の上旬くらいになりますと10才くらいがピークになって後になると段々高齢になると言う傾向が見て取れます。
(補足:多分最初が5月中旬の間違いで10才主体と言うのも違うと思います)
全体的に8歳が一番多くて両側に釣鐘型に降っていく形になる事が多いんですが、
6歳が非常に少ないと言うのが判ると思うんですが、もう一つ9歳も少ないと言う事が判るかと思います。
この6歳と9歳の生まれた年の雨量を示したのが上の図です(図が見つかりません・・・)
これは浜鬼志別という猿払のすぐ隣のデータなんですけれども、7月の雨量を示した図です。
7月と言うのはですね大体猿払川で生み出された卵が孵化してですね稚魚が川に泳ぎ出す頃です。
その泳ぎ出す頃に非常に雨量の多かった年に生まれた魚と言うのはですね、
どうも非常に少ないらしいと言う事がこれで見て取れるかなと言う風に思います。
これは南富良野でも全く同じような傾向が有りましてですね、
南富良野の場合は大体8月から9月なんですけれども、その頃非常に雨量が多いとですね
その年休群が非常に生き残りが悪いと言う事が判っていますので多分猿払も同じ様な傾向だと思います。
ちょとこれは余談だったんですけれどもね。
【その③へ続きます】
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